前日までにインフルエンザが流行りはじめたクラスもあって、一堂に集めることの危険性を指摘する声もありました。とはいえ、せっかく練習もしてきたのでそう簡単にはやめられません。会場の体育館入り口では手の消毒をし、学校で用意したマスクを全員が着用して実施しました。終わってからもうがい、手の消毒をして万全を期したこともあって、現在中学生でインフルエンザに罹患している生徒はほとんどいません。
当日生徒にも話したことですが、この年齢の生徒にしっかりと覚えさせることの意味は大変大きいと思います。私も同じ年齢の頃に百人一首を覚えました。今でも忘れない歌が少なくありません。この歌を詠んだ人はどんなところにいて、どんな思いで詠んだものだろうか?そう考えながらじっくりと味わってみると楽しくなってきます。
私の故郷は山々に囲まれた小さな盆地で、東西南北どこを見ても山が迫っています。高校生の頃に我が家の2階の窓から見える景色を思い出します。南にある街のシンボル的な山が昼には太陽によってシルエットになってしまいます。日が暮れるのも多少早く冬の一日はまさに「つるべ落とし」。短い昼の午後に西の山が太陽に照らし出されて浮かび上がり、はっきり見えます。そこはまさに冬枯れの世界です。落ち葉を踏みながらサクサクと歩くまわりには誰も何もいません。きっとこんな情景だったのかな?そんな情景を描きながら思い浮かべることのできるのは
山里は 冬ぞさびしさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば
自分を育ててくれた故郷に感謝しながら、いつも思い出しています。自分の心情に重なる歌を見つけるのは楽しいものです。
あとわずかで今年も終わります。新しい年がこのメッセージを読んでくれたすべての人にとって良い年であることを祈りつつ、大伴家持が詠んだ万葉集の最終歌を送ります。
新しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いやしけ吉事